ほとんどの人がタイトルを知っているこの物語。
でも、意外と、実際に読んだことある人は少ないだろうな、と思う。
あらすじを簡単に紹介。
主人公は「おとな」になじめない飛行士の「ぼく」。
あるとき砂漠に不時着して、そこで飛行機の修理のしているとき、一人の不思議な男の子と出会う。
最初のころは「ぼく」の質問に答えてくれなかった男の子だったが、日にちが経つにつれ、自分のことをいろいろと話しはじめる。
彼は、小さな小さな星からきた、王子さまだった。
ふるさとの星を離れ、いくつかの星を訪れたと、地球にきたのだ。
王子さまの口から語られる、数々の不思議なストーリー。
友達になった「ぼく」と王子だったが、やがて別れのときが… 。
奇妙で、かわいくて、そして切ないストーリー。
子供向けの童話だけど、大人が読むと、哲学的に思えるかもしれない。
私は、この本を大人になってから読んだのだけど、子供の頃にも読んでいたら、また違った話に受け取れただろうなぁ、と思う。
発想がとても奇抜で、こんな物語が書ける作者のサン=テグジュペリは、本当、すごいと思う。
どうやったら、思いつけるんだろう、というエピソードが盛りだくさん。
例えば、こんなエピソード。
最初の出会いの際、王子は「ぼく」に『 ヒツジの絵を描いて欲しい 』と頼む。
「ぼく」は何枚もヒツジの絵を描くが、王子はなにかと理由をつけて、拒否をする。
面倒になった「ぼく」は箱を絵を描き、『 その中にあんたのほしいヒツジがいる 』と言った。
すると王子は 『 こんなのが欲しかったんだ 』と喜び、それから、そのヒツジがたくさんの草を食べるかどうかを聞いてくる。
王子には、箱の中のヒツジが見え、それを自分の星に連れていくというのだ。
こんな不思議な調子で、物語は進んでいく。
個人的には、王子さまと花のエピソードが一番印象的だ。
物語の中でも重要な要素なので、これ以上は触れないけど。
ちなみに、作者のサン=テグジュペリの職業は、主人公と同じ飛行士で、その体験をもとに、いくつかの作品を書いている。
そして、彼は、空の上で行方不明になった。
この「星の王子さま」を読んだあと、別の作品、「夜間飛行」(こちらは童話ではなく、普通の小説)も読んだけど、全然違う印象でびっくりした。
同じ人が書いたとは思えない。
なので、「星の王子さま」のような物語を求めて他の作品を読むと、がっかりするかもしれない。
ちなみに、この「星の王子さま」のイラストも、サン=テグジュペリが描いたものだ。
本当に、多才な人だなぁ、と思う。
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